ここで言うアキレス腱炎はアキレス腱周囲炎も含めた病態を指します。アキレス腱炎の場合は腱線維の微細な断裂による腱実質の炎症です。アキレス腱周囲炎の場合はアキレス腱付着部を中心とした腱周囲結合組織の炎症ですが臨床的に両者を区別することは困難ですので同義語として用いられています。原因は腓腹筋の筋力低下、筋・腱の柔軟性低下、下肢アライメントの不良などがあり、これらに使い過ぎが加わって発症します。アキレス腱炎に対する鍼灸治療は腱周囲の圧痛部位を中心に行うと共に下腿三頭筋の筋緊張を緩める治療を行います。またこの症状によって影響を受ける腰背部の脊柱起立筋に対しても治療を行います。
アキレス腱炎はスポーツ選手に好発し、症状は徐々に出てきますので、そのときはスポーツ活動の一時休止または制限をする必要があります。また発症原因が筋力低下、筋・腱の柔軟性低下ですので、筋力アップや柔軟性の向上を図ることによって予防できます。症状が出た場合、我慢してスポーツを続けると慢性化してしまうので症状が軽いうちに治療する必要があります。鍼灸治療には消炎鎮痛作用がありますのでお近くの鍼灸院で治療してみてはいかがでしょうか。