低血圧症は一般に収縮期血圧が100mmHg以下(拡張期血圧は考慮されません)で、何らかの自覚症状を伴うものを言います。この低血圧症には原因の明らかでない本態性低血圧症と、原因疾患があってそれに続発して起こる二次性の低血圧症があります。症状は各人各様ですが頻度の多いものから言いますと疲労感、めまい、四肢冷感、頭重感、肩こり、動悸、便通不調、発汗、心臓部不快感、性欲減退、根気がない、不眠、食欲不振などが挙げられています。またこれらの愁訴がなくてたまたま検診などで発見される無愁訴型がありますが、これは治療の対象としません。二次性低血圧症の原因疾患には心機能低下、循環血液量低下、内分泌異常、代謝異常、自律神経異常、薬剤性などがありますが、重篤な疾患が多いので鑑別診断が特に重要です。本態性低血圧症の治療は非薬物療法が基本で、効果がない場合に薬物療法となります。低血圧症に対する鍼灸治療は本態性低血圧症を対象とします、また薬物療法者、非薬物療法者を問わずすべて治療の対象とします。治療は症状に応じた治療を行うとともに自律神経のバランス調節を目的とした全身治療を行います。
本態性低血圧症は生命の危険がない予後良好な疾患ですので心配ありません。規則的な生活習慣、塩分の多い食事、適度な運動、充分な睡眠、ストレスの回避、弾性靴下の使用、急激な体位変換や起立動作を避けることによって症状は改善します。また症状が強く出て日常生活に支障がある方は、お近くの鍼灸院で治療されてみてはいかがでしょうか。